line5東学祭コンペティション部門受賞結果

以下の3名のゲスト審査員より「グランプリ」「準グランプリ」が選出されました。(敬称略)

井口奈己(IGICHI Nami / 映画監督)
深田晃司(FUKADA Koji / 映画監督)
大九明子(OHKU Akiko / 映画監督)

第31回東学祭コンペティション部門
<グランプリ>『冬のほつれまで』
監督:多持大輔 / 武蔵野美術大学

授賞コメント:私たち審査員の3人の意見が一致して、この作品がグランプリではないかということになりました。先ほど壇上で私(大九監督)はこの作品のファンであると言ってしまったので私だけの推薦だけじゃないよ、ということをご説明申し上げます。

やはり、のっけから主役の根本さんという彼女から目が離せなくなる、人間から目が離せないまま、最後まで引っ張る力がすごくかった。「あそこってどうなんだろう」と深田さんとも話しました。

最後まで引き込まれて、大変心揺さぶられるショットもありましたし、そうゆう意味で「この作品こそグランプリだろう」ということで選ばさせていただきました。(プレゼンター:ゲスト審査員・大九明子監督)

『冬のほつれまで』

武蔵野美術大学 / 2020 / 68分
監督:多持大輔(Tamochi Daisuke)

高校2年生の根本育実。彼女の趣味は観察をすること。1番早く高校に行き誰もいない教室のベランダで植物の水やりをする。授業中の出来事や放課後に立ち寄る珈琲店の客の言動に目を凝らす。そして観察の中で芽生えた絵をスケッチブックに描いて残す。そんな彼女の行動に興味を示すクラスメイト・立花ほのかは育実との交流を試みようとする。だが育実はそれに一切干渉しない。彼女には彼女だけの時間が流れる。

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第31回東学祭コンペティション部門
<準グランプリ>『MOTHERS』
監督:関麻衣子 / 日本映画大学

授賞コメント:『MOTHERS』は「作品が面白い」という意味では3人の審査員とも一番面白いという評価を得ていました。登場人物が魅力的である点が重要な映画で、すごく面白かった。

ですが、監督ご本人の口からも「完成されていない」という言葉が出ていたので、ここでは(グランプリではなく)準グランプリとし、完成に向けて頑張ってもらいたい。

『MOTHERS』

日本映画大学 / 2020 / 63分
監督:関麻衣子(Seki Maiko)

非凡な父のおかげ(?)で麻衣子は母親を三人も持つことになった。産みの母、育ての母、そしていま一緒に暮らしている母の三人がいる。けれど、「この人こそわたしの母だ」と言い切れる人は一人もいない…

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line5短編コンペティション部門受賞結果

以下の2名のゲスト審査員より「グランプリ」「準グランプリ」に加え「審査員員特別賞」が選出されました。(敬称略)

岩井澤健治(IWAISAWA Kenji / 映画監督)
佐々木敦(SASAKI Atsushi / 文筆家)

第31回短編コンペティション部門
<グランプリ>『忘れたくないのに定かじゃない』
監督:藤丸踏子 / 武蔵野美術大学

授賞理由:この作品は見たときにどこまで計算して制作されたかのか、どうなのだろう?と思いながら見て、引き込まれた。これは藤丸監督にしか撮れない作品であるという点が受賞の理由となりました。

『忘れたくないのに定かじゃない』

武蔵野美術大学 / 2020 / 12分
監督:藤丸踏子(Fujimaru Fumiko)

ペットの話。全部覚えてたい、何も忘れたくない、それくらい大切で大事なことなのに、記憶が定かじゃないのってめちゃめちゃ悔しい。

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第31回短編コンペティション部門
<準グランプリ>『こちら放送室よりトム少佐へ』
監督:千阪拓也 / 日本大学芸術学部

授賞理由:見たときに、本当に今の映画ととても思えなかった。舞台設定も80 年代で、10 分ぐらいの時間の中で話がきちんとできており、隅々まで計算がされている丁寧な編集となっていた。

時間を超えた価値、魅力をもっている作品になっていると思います。この作品は2020 年に賞を取りましたが5年、10 年後まで感動できる作品になっていると思いますので準グランプリに選ばさせていただきました。

『こちら放送室よりトム少佐へ』

日本大学芸術学部 / 2019 / 10分
監督:千阪拓也(Chisaka Takuya)

1989年夏。孤独な放送部員の少年と夜間学校に通う少女が、カセットテープを通して、二人でリレーラジオドラマを作っていく物語。この作品は大学の3年生実習課題として制作し、16mmフィルムで撮影しました。

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第31回短編コンペティション部門
<審査員特別賞>『いちご飴』
監督:李念澤 / 東京藝術大学

『いちご飴』

東京藝術大学 / 2020 / 7分
監督:李念澤

どうしても言えないある秘密と、次第に薄くなっていく記憶。 女の子はそれが現実か夢かわからなくなっている。

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第31回短編コンペティション部門
<審査員特別賞>『セヴンティーン』
監督:宮田有紀子 / 日本大学芸術学部

授賞理由:『セヴンティーン』というタイトルが大江健三郎さんの「セヴンティーン」という小説から撮られていたことを全く予想していなかったのでそれにすごく驚いた。

今時の学生の映画作品に大江健三郎が登場することの驚きとともに、作品の中に出てくる学生の抱えている思いというのが画面に溢れ出てくるような映像と編集というものにも関心しました。

『セヴンティーン』

日本大学芸術学部 / 2020 / 10分
監督:宮田有紀子(Miyata Yukiko)

15歳のA子は同級生、シュンの絵に魅了され、自我が芽生え始める思春期、彼に陶酔する。だが、17歳になったシュンはあの時に惹かれた彼とは変わっていた。A子は過去に取り残された自分と、大人になっていくシュン、他人に対しての劣等感や嫌悪感を抱き、もがき苦しむ。

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line5特別賞・受賞結果

特別賞
<DOKUSO賞>『残光に祈りを』
監督:村本晃来 / 日本大学芸術学部

授賞理由:今回、この賞の副賞にもなっている配信で、単純にそこで流したいと思う面白い映画でした。また、一つ一つのカットにもこだわりが見られ、これで映画のプロになっていくんだという強い気持ちを感じられたので、DOKUSO として一緒に歩んでいきたい監督だと感じ、選ばさせていただきました。

『残光に祈りを』

日本大学芸術学部 / 2019 / 30分
監督:村本晃来(Muramoto Koki)

「花火の轟音に消える、名も無き青年の叫び」
花火大会のある日、自らを総理大臣と名乗る青年は、放射性物質を混入させた、核花火を打ち上げたと出頭する。

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特別賞
<TSUTAYA賞>『HITOMA』
監督:宮原拓也 / ENBUゼミナール

『HITOMA』

ENBUゼミナール / 2019 / 6分
監督:宮原拓也(Miyahara Takuya)

六畳じゃないけど、一間の空間で、
今日もいつだって、人間の活動は続いているんだと思います。

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特別賞
<ビューティフル・ドリーマー賞>『こちら放送室よりトム少佐へ』
監督:千阪拓也 / 日本大学芸術学部

授賞コメント:今回ビューティフルドリーマー賞はエンターテイメント性が高く世に出てきそうクリエーターおよび作品に対する賞であるということで本広克行監督およびビューティフルドリーマーという映画を製作したプロデューサーなどで選ばせていただきました。こちらの作品は10 分間で昔懐かしいノスタルジック感に誘ってくれる展開であったり、ラストシーンや演出、クレジットまで全てのもののパッケージ感がとても素晴らしい作品でありこの賞を送るのに素晴らしい作品であると思い選ばさせていただきました。(プレゼンター:『ビューティフルドリーマー』プロデューサー・雨無麻友子さん)

『こちら放送室よりトム少佐へ』

日本大学芸術学部 / 2019 / 10分
監督:千阪拓也(Chisaka Takuya)

1989年夏。孤独な放送部員の少年と夜間学校に通う少女が、カセットテープを通して、二人でリレーラジオドラマを作っていく物語。この作品は大学の3年生実習課題として制作し、16mmフィルムで撮影しました。

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第31回東学祭を終えたゲスト審査員からのご講評をご紹介します

井口奈己監督講評
2日間、学生の方々が作った貴重な映画を見せて頂きありがとうございました。色んなことを私たち審査員が言ったと思いますが、あまり聞きすぎず、ガッカリしないで下さい。自分たちがやったことが私たちに届かなかったり、私たちが理解できてなかったことがあったかもしれないですけど、そんなこと気にしないで好きなように今後とも映画を作っていって下さい。ありがとうございました。

 

深田晃司監督講評
11本の個性豊かな作品を見られて、作り手としても大きな刺激を頂きました。ありがとうございました。惜しくも受賞とならなかった皆様に言いたいのは、審査と言っても結局は人が決めることであり、メンバーが変われば結果や内容も変わってきます。私たちは自信を持って今回の賞を選びましたが、「なんだあいつは見れてないなあ」くらいに思って、次の作品へと進んで行って欲しいと思います。今後の活躍を応援しています。

 

大九明子監督講評
コロナの影響で劇場や映画製作者が中々辛い立場にある人達が多い今年。この秋に入って、ようやく「劇場に人が入っても大丈夫じゃないか」と、それぞれ試行錯誤している中、現実にお客様に入って頂いて映画祭を催したということは大変素晴らしいこと。私自身も、劇場に通い映画をたっぷり浴びるという2日間はとっても楽しみました。そのことに感謝申し上げたいと思います。
私どもが拝見した11本はそれぞれが光っていて、さすが「ここに選ばれただけはあるな」と思い、そんな中で気に入った作品も多々ございました。私2-3年前にPFFの審査員を冨永監督と一緒にやったときに、彼が「気に入った作品はなるべく人前で言ってあげたほうがいいんだ」と言っていました。私が気に入った作品がもう一つあり、『蛋ヶ岳学会事件』であること、ここで言っておきます。それ以外の作品もすべて楽しく拝見させて頂きました。

 

岩井澤健治監督講評
今回審査員をやらせて頂きましてが、僕もちょっと前まで審査される側でした。(授賞作品を)選ぶため、自分の気持ちも考えつつ、撮られた監督の皆さんのことも考えつつ、色々悩みました。悩んだのは、本当にお世辞ではなく驚くほどクオリティが高い作品が多かったからです。賞に選ぶことができなかった監督の作品も、本当に素晴らしい作品ばかりだと思いますので、これからもどんどん作って欲しいと思います。

 

岩井澤健治監督講評
今回、東学祭コンペティション部門と合わせて映画監督ではないのは僕だけなので、どうして僕が呼ばれたのか謎と言えば謎でした。ですが、それだけに責任というか「監督目線じゃないところからの意見というのを出したほうがいいのかな」と思って作品を見ました。8本の作品のレベルが本当に高く、且つ、かなり作品のタイプがバラエティに富んでいたので、その8本の中からグランプリを選ぶというのはどういう基準で選べばいいのか、一昨日映画を見た時点では悩んでいました。僕は映画以外のジャンルの仕事も色々していますが、新人の人を選ぶ時、個人的には「完成度」とか「出来」以外に、パッションや、その人にしかできないような、そのときにしか生まれないような作品に票を入れたいと思っています。
今日の審査会で「岩井澤さんはどう思っているのかな?」とか、「何を推してくるのかな?」とドキドキしていました岩井澤さんもそうだったかもしれないですけど(笑) そして、グランプリだと思う作品を「せーの!」で言い合ったら『忘れたくないのに定かじゃない』を2人とも推しました。この時、岩井澤さんも僕がこういう方向の作品を推したいなって思っていた気持ちと一緒だったことが分かって、割とスムーズにグランプリに決まりました。その後で、グランプリ以外の賞、準グランプリ、審査員特別賞を考えていきました。なので、結果として8本のうち半分が何かしらの賞を与えているのですが、賞にもれた4本も非常に優れた作品だったという風に思いましたし、「あ、こんなに面白いことになっているんだ」と認識を新たにしました。これからもこういう機会を経て、「学生映画を見る機会があったら見てみたいな」と思いました。ありがとうございます。