35th実写長編・短編部門審査員

 原一男(Hara Kazuo)
監督プロフィール

1945年6月、山口県宇部市生まれ。東京綜合写真専門学校中退後、養護学校の介助職員を経て69年銀座ニコンサロンにて写真展『ばかにすンな』開催。1972年小林佐智子と共に疾走プロダクションを設立し『さようならCP』で監督デビュー。
1974年『極私的エロス・恋歌1974』トノンレバン独立国際映画祭グランプリ受賞。
1987年『ゆきゆきて、神軍』日本映画監督協会新人賞、ベルリン映画祭カリガリ賞、パリ国際ドキュメンタリー映画祭グランプリなどを受賞。1994年小説家・井上光晴の虚実に迫った『全身小説家』でキネマ旬報ベストテン日本映画第一位、毎日映画コンクールで毎日日本映画大賞を受賞。
1918年『ニッポン国VS泉南石綿村』釜山国際映画祭メセナ賞(最優秀ドキュメンタリー賞)などを受賞、2019年ニューヨーク近代美術館(MOMA)にて全作品上映。2020年、20年の歳月をかけた『水俣曼荼羅』三部構成372分が公開。
2023年、釜山国際映画祭ドキュメンタリー映画部門審査員。現在は、『水俣曼荼羅part2』を含む遺言3部作の製作、国内外の上映会で講演を行っている。
X原一男情報公式アカウントhttps://twitter.com/shin_kazuohara
X原一男本人によるアカウントhttps://twitter.com/kazu19451

コメント

30代の頃、今村昌平、大島渚、新藤兼人ら一世代上の監督たちから、映画作りの全てを学ぼうと講座形式で、ご本人たちをゲストに招き「CINEMA塾」を開講した。

私の映画の最良の勉強の仕方は、作り手本人からダイレクトに話を聞くこと、と信じている。

ひと通り、その世代から学んだと思えたので次に、私より一世代下の監督たちをゲストに招いた。大して学ぶことはないだろう、とタカを括っていたらとんでもない、手法の斬新さ、テーマの選び方など、その自由なことに大いに刺激を受けた。

さて、今時の学生といえば、私からみたら孫世代、いや、ひ孫世代になるのか、彼らからどんなことが学べるだろうか? すごく楽しみである。

 三島有紀子(Misima Yukiko)
監督プロフィール

三島有紀子 / 映画監督

大阪市出身。18歳からインディーズ映画を撮り始め、大学卒業後NHKに入局し「NHKスペシャル」「ETV特集」など人間ドキュメンタリーを企画・制作。03年に劇映画を撮るために独立、東映京都撮影所などでフリーの助監督として日本映画と現場を学ぶ。ニューヨークでHBスタジオ講師陣の演技のサマーワークショップを受ける。

『幼な子われらに生まれ』(17)では第41回モントリオール世界映画祭で審査員特別大賞、第41回山路ふみ子賞作品賞、第42回報知映画賞では監督賞を受賞など国内外で多数受賞。2022年、イタリア三都市で「三島有紀子の世界」開催。今年2024年2月、長編映画10本目として『一月の声に歓びを刻め』をインディペンデントで製作・公開。第9回シアトル映画祭でベスト監督賞受賞。7月20日から8月2日までポレポレ東中野で「三島有紀子特集」で新旧合わせて8本が上映される。公式→https://www.yukikomishima.com/

✳︎主な映画監督作品
『しあわせのパン』(12)『繕い裁つ人』(15)『少女』(16)『幼な子われらに生まれ』(17) 『ビブリア古書堂の事件手帖』(18)『Red』(20) 『よろこびのうたOde toJoy』(21)『インペリアル大阪堂島出入橋』(22) 『一月の声に歓びを刻め』(24) 他

✳︎小説
「しあわせのパン」ポプラ社 「ぶどうのなみだ」パルコ出版

✳︎舞台
「遮断記/東電OL事件外伝」作・演出・制作 、「スパイス・イン・ザ・バスケット」(パルコ劇場「LOVE30」)作、「カラマツのように君を愛す」(TBS「もうラブソングは歌えない」)作・演出

コメント

学生の時、映画を作っていると、大きく息ができるような疾走感があったなあ・・・。
第30回のとき、審査員なんて「おこがましいです」とお伝えしながらも、そんなことを思いながら参加させていただいた。
みなさまの、とても「自由な作品」たちに、大きな刺激をいただき、おもしろかった。そして、この映画祭で出会った藤原季節(『中村屋酒店の兄弟』監督・白磯大知)と短編『よろこびのうたOde to Joy』を作れた。この映画祭に参加していた常間地裕監督とドラマを一緒に作れた。いろんな方々が「東京学生映画祭」の会場にいました、と声をかけてくれる。そんな「次」が生まれているのも嬉しい。今年も、楽しみにしている。

 今泉力哉(Imaizumi Rikiya)
監督プロフィール

今泉力哉 / 映画監督
1981年福島県生まれ。さまざまな自主映画制作を経て、2010年『たまの映画』で商業監督デビュー。
主な作品に『サッドティー』(14)、『退屈な日々にさようならを』(17)、『愛がなんだ』(19)、『あの頃。』(21)、『街の上で』(21)、『かそけきサンカヨウ』(22)、『猫は逃げた』(22)、『窓辺にて』(22)、『ちひろさん』(23)、『アンダーカレント』(23)など。
最新作『からかい上手の高木さん』が全国公開中。
ドラマ『1122 いいふうふ』がAmazonPrimeVideoにて世界独占配信中。

コメント
2024年。この時代に「映画をつくること」は私が映画をつくり始めた25年近く前に「映画をつくること」とは少し違った意味を持っている気もします。同じ部分ももちろんあると思います。私も自主映画から映画づくりを始めて今に至っています。特に私からみなさんになにかを教えられることはありません。伝えられることはもしかしたらなにかあるかもしれません。みなさんの映画を見て、感じて、いろんなことを学べたらと思っています。よろしくお願いします。

35thアニメーション部門審査員

 山田遼志(Yamada Ryoji)
監督プロフィール
1987年生まれ。株式会社mimoid所属。2013年多摩美術大学大学院グラフィックデザイン研究領域修了後、ガレージフィルムにアニメーターとして勤務。その後フリーとなり、文化庁海外派遣研修員としてドイツ、バーデン=ヴュルテンベルク州立フィルムアカデミーに留学。MV制作や広告制作に携わりながら、現代社会などをテーマに制作を続け株式会社mimoid共同設立。アヌシー国際アニメーション映画祭をはじめとする世界各国の映画祭で上映、受賞歴がある。
コメント
映像作品が多く消費される昨今、何かを突きつけてくるような強烈な、或いは繊細な作品が発見されづらい状況があります。映画祭という場は、このような作品を発見していくべき場所であり、審査員をさせていただくことに身が引き締まります。作品の良し悪しにおいては学生とプロの差はありません。新たな才能に会えることを楽しみにしています。
 岡田詩歌(Okada Shiika)
監督プロフィール
1996年東京生まれ。アニメーションを中心に、エロスや愛、ジェンダーをテーマにした映像作品を制作している。 第24回学生CGコンテスト 優秀賞、ザグレブ国際アニメーション映画祭2019/2022 学生部門ノミネート、 第23回京都国際学生映画祭最終審査員 大九明子賞、第43回ぴあフィルムフェスティバル審査員特別賞、 DigiCon6JAPAN Next Generation賞など国内外の映画祭で入選受賞している。 2023年に実写監督デビュー。現在、第29回PFFスカラシップ長編映画『恋脳 Experiment』の劇場公開を控えている。
コメント
学生時代、私はいそいそと作品を作っては映画祭に作品を出品し続けていました。普段なかなか作品、特に短編作品に対するリアクションを得る機会は少ないと思いますが、映画祭では実際にその場で多くの人の反応を見たり、アドバイスをもらうことができるので足繁く通っていました。学生ではなくなってしまった今の私は、もう東京学生映画祭にはチャレンジできません。皆さんがとても羨ましいです。 きっと今の皆さんだから作れること・挑戦できること・楽しめることがたくさんあると思います。私は学生だからこそチャレンジできる東京学生映画祭で、皆さんが今この時だからこそ持てる感性やパッションで制作した作品を観ることをとても楽しみにしています。