Ⓒ(マルシー)小栗康平事務所
❙『泥の河』
1981年/105分
自主制作、自主公開という小さな取り組みから始まった「泥の河」は、欧米はもとより、旧ソ連邦、中国やアジア諸国にまでその配給をひろげて、製作から二十年以上経た今日でも、名作として語り継がれている小栗康平監督の第1回監督作品です。宮本輝の処女作を原作に、少年少女たちのひと夏の出会いと別れが切々と描かれました。
❙ メインスタッフ
監督:小栗康平
脚本:重森孝子
原作:宮本輝
制作:木村元保
制作補:藤倉博
撮影:安藤庄平
美術:内藤昭
音楽:毛利蔵人
録音:西崎英雄、平井宏侑
照明:島田忠昭
編集:小川信夫
助監督:高司暁
❙ キャスト
田村高廣、藤田弓子、朝原靖貴、加賀まりこ、柴田真生子、桜井稔、初音礼子、西山嘉孝、蟹江敬三、殿山泰司、八木昌子、芦屋雁之助
❙ 受賞
キネマ旬報ベストテン第1位
日本映画ペンクラブ第1位
キネマ旬報日本映画監督賞
毎日映画コンクール最優秀作品賞・最優秀監督賞
ブルーリボン最優秀作品賞
日本アカデミー賞最優秀作品賞
文化庁優秀映画賞
モスクワ映画祭銀賞
アメリカアカデミー賞外国語映画部門ノミネート
日本映画監督協会新人奨励賞
芸術選奨文部大臣新人賞
毎日映画コンクール主演男優賞:田村高廣
キネマ旬報助演女優賞:加賀まりこ

1945年群馬県生まれ。
早稲田大学第二文学部演劇専修卒業後、フリーの助監督として浦山桐郎、篠田正浩監督らにつく。1981年「泥の河」で監督デビュー。
戦争の傷あとを残す大阪の川べりを舞台に、少年少女のひと夏の出会いと別れを、白黒・スタンダードの端正な画像で描き、キネマ旬報ベスト・テン第1位をはじめ数多くの賞を独占、海外でもモスクワ映画祭銀賞を獲得、アメリカ・アカデミー賞の外国語映画へノミネートされるなど高い評価を受ける。
84年に李恢成の原作による「伽倻子のために」を発表。
在日朝鮮人と日本人少女との愛と別れを慈しみをもって描き、フランスのジョルジュ・サドゥール賞を日本人として初受賞。
90年、純文学の極北と称された島尾敏雄の「死の棘」を映画化。
第43回カンヌ国際映画祭で“グランプリ・カンヌ1990”と“国際批評家連盟賞”をダブル受賞する。
96年には、自身初のオリジナル脚本による「眠る男」を発表。
動かず、語らない、眠る男を映画の主人公に据えて、これまでの映画話法を根底からくつがえす作品となり、モントリオール映画祭審査員特別大賞を受賞。群馬県が自治体として映画製作をしたこと、韓国を代表する俳優、安聖基(アン・ソンギ)、インドネシアの国民的女優、クリスティン・ハキム、そして日本の役所広司の共演も話題になった。
05年、前作に続きオリジナル脚本による「埋もれ木」を発表。
第58回カンヌ国際映画祭で特別上映された。
2015年にはオダギリジョー主演の日仏合作映画「FOUJITA」を発表。
過去五作品がDVD-BOOK 「小栗康平コレクション」として、「FOUJITA」は別巻としてBlu-rayで発売されている。著書「時間をほどく」(朝日新聞社)「映画を見る眼」(NHK出版)「じっとしている唄」(白水社)などがある。
映画は撮ってみないと分からないことが多い。でも撮れば、撮れれば、自分とはなにものか、が必ず写る。ぼんやりしてそこを見過ごしてしまったら、もう取り返しがつかない。「泥の河」は私の最初の監督作品である。40年以上も経って、映画を撮ろうとしている若い人たちが、どんなふうに自分ごととして捉え直してくれるのか、興味深い。
【チケット詳細】 ・前売り券 学生:700円 / 一般:1400円 ・当日券 学生:1000円 / 一般:1500円