『Blink in the Desert』作品詳細
東京藝術大学大学院 / 2021 / 11min.
監督:副島しのぶ(SOEJIMA Shinobu)
上映スケジュール:<Aプログラム> 10月19日(火)18:25〜
荒漠たる砂漠で、少年はそれを見た。
悪意は突然現れる。まるで瞬きするかのように、羽ばたく羽虫のように気まぐれた。
若き砂漠の隠者は、ある日突然現れた羽虫を殺してしまう。その姿をじっと見つめるゾウ。その日から、少年は羽虫の影に追われていく。
【スタッフ】音楽:マーティ・ヒックス / サウンドデザイン:中岡尚子、俵積田菜央
監督:副島しのぶ(SOEJIMA Shinobu)
監督プロフィール
彫刻・映像を制作。影や死と言った日常の中の異界をテーマに、アジアの民間伝承や民族文化のリサーチを通じて、あらゆる民族や時代にかかわらず人々が共有するイメージを取り入れた、ナラティブな映像表現を試みる。主な受賞歴に、第22回メディア芸術祭審査員推薦作品や、アートアワードトーキョー丸の内 2018 木村絵理子賞をはじめ、カナダやポーランドなど、国内外の映画祭に入選、公式上映される。
フィルモグラフィー
『ケアンの首達』(2018)
『鬼とやなり』(2019)
『Blink In the Desert』(2021)
製作のきっかけ
自分の心の中で何か強烈な「負」の感情が生まれる時、それはまるで内面に羽虫のような害虫が巣を作り、ゆっくりじわじわ心を侵食していくようなざわめきを覚えた。同時に道徳心がその侵食された心を戒めるように対立する。人は、心の中に倫理観(絶対的に正しいもの)生まれながらに存在していて、その「正しいもの」が具現化したものが多くの人が信じる宗教的な神様になったのかもしれない。まるで、心の中に教会があるように、人々は長い歴史の中で内面的葛藤と倫理観を他者と共有し普遍的な問題として考えてきた。本作は、そのような生きることで汚れていくこと、その汚れを受け入れて生きていくことについて、「信仰」の文化を照らし合わせて考えた作品である。
作品の見どころ
人形が演じる心の葛藤や表情の変化を、顔の造形が変わらない人形をあえて使うことによって深みのある情緒を表現した。目から伝える主人公の感情的表現に注目してほしい。