東学祭コンペティション部門
審査員の3名には、東学祭コンペティション部門の「グランプリ」「準グランプリ」を選出いただきます。(敬称略)
井口 奈己 (IGUCHI Nami)映画監督
脚本・演出・編集を手がけた8mm映画『犬猫』がPFFアワード2001で企画賞を受賞。2004年に『犬猫』を35mmでセルフリメイクし、商業映画監督としてデビューを果たす。『犬猫(35mm)』では、第22回トリノ国際映画祭で審査員特別賞、国際批評家連盟賞、最優秀脚本賞を受賞したほか、日本映画監督協会新人賞を受賞。2008年に『人のセックスを笑うな』、2014年に『ニシノユキヒコの恋と冒険』が公開、最新作は2019年に撮影した短編『だれかが歌ってる』。 |
深田 晃司 (FUKADA Koji) 映画監督
1980年生まれ。99年映画美学校に入学。長・短編3本を自主制作。06年『ざくろ屋敷』でパリ第3回KINOTAYO映画祭新人賞受賞。08年映画『東京人間喜劇』でローマ国際映画祭正式招待、大阪シネドライブ大賞受賞。10年『歓待』が東京国際映画祭日本映画「ある視点」作品賞、プチョン国際映画祭最優秀アジア映画賞受賞。13年『ほとりの朔子』でナント三大陸映画祭グランプリ&若い審査員賞をダブル受賞。15年『さようなら』でマドリッド国際映画祭ディアス・デ・シネ最優秀作品賞受賞、16年『淵に立つ』で第69回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門審査委員賞受賞。最新作『よこがお』はロカルノ国際映画祭コンペティション部門正式招待。2020年連続ドラマとして製作した『本気のしるし』の劇場版が第73回カンヌ国際映画祭オフィシャルセレクションに選出。
大九 明子 (OHKU Akiko) 映画監督
横浜出身。明治大学政治経済学部卒業。映画美学校第1期生となり、2007年『恋するマドリ』で劇場長編デビュー。2017年『勝手にふるえてろ』では、第30回東京国際映画祭コンペティション部門・観客賞をはじめ数々の賞を受賞。近年作に、『美人が婚活してみたら』(19)。今年は、『甘いお酒でうがい』に続き、『私をくいとめて』が公開予定。
短編コンペティション部門
審査員の2名には、短編コンペティション部門の「グランプリ」「準グランプリ」を選出いただきます。(敬称略)
岩井澤 健治 (IWAISAWA Kenji) 映画監督
1981年東京生まれ。石井輝男監督に師事したのち、2005年にアニメーション製作を開始。7年以上の歳月をかけ製作した2020年1月公開の最新作『音楽』がロングランで大ヒット公開中。
佐々木 敦 (SASAKI Atsushi) 文筆家
HEADZ主宰。ことばと(書肆侃侃房)編集長。早稲田大学非常勤講師。立教大学兼任講師。
芸術文化の複数の領域で活動。映画批評の編著書に『この映画を視ているのは誰か?』『ゴダール原論』『フィルムメーカーズ ジャン=リュック・ゴダール』など。
HEADZとして清原惟監督『わたしたちの家』を配給した。
井口奈己監督講評
2日間、学生の方々が作った貴重な映画を見せて頂きありがとうございました。色んなことを私たち審査員が言ったと思いますが、あまり聞きすぎず、ガッカリしないで下さい。自分たちがやったことが私たちに届かなかったり、私たちが理解できてなかったことがあったかもしれないですけど、そんなこと気にしないで好きなように今後とも映画を作っていって下さい。ありがとうございました。
深田晃司監督講評
11本の個性豊かな作品を見られて、作り手としても大きな刺激を頂きました。ありがとうございました。惜しくも受賞とならなかった皆様に言いたいのは、審査と言っても結局は人が決めることであり、メンバーが変われば結果や内容も変わってきます。私たちは自信を持って今回の賞を選びましたが、「なんだあいつは見れてないなあ」くらいに思って、次の作品へと進んで行って欲しいと思います。今後の活躍を応援しています。
大九明子監督講評
コロナの影響で劇場や映画製作者が中々辛い立場にある人達が多い今年。この秋に入って、ようやく「劇場に人が入っても大丈夫じゃないか」と、それぞれ試行錯誤している中、現実にお客様に入って頂いて映画祭を催したということは大変素晴らしいこと。私自身も、劇場に通い映画をたっぷり浴びるという2日間はとっても楽しみました。そのことに感謝申し上げたいと思います。
私どもが拝見した11本はそれぞれが光っていて、さすが「ここに選ばれただけはあるな」と思い、そんな中で気に入った作品も多々ございました。私2-3年前にPFFの審査員を冨永監督と一緒にやったときに、彼が「気に入った作品はなるべく人前で言ってあげたほうがいいんだ」と言っていました。私が気に入った作品がもう一つあり、『蛋ヶ岳学会事件』であること、ここで言っておきます。それ以外の作品もすべて楽しく拝見させて頂きました。
岩井澤健治監督講評
今回審査員をやらせて頂きましてが、僕もちょっと前まで審査される側でした。(授賞作品を)選ぶため、自分の気持ちも考えつつ、撮られた監督の皆さんのことも考えつつ、色々悩みました。悩んだのは、本当にお世辞ではなく驚くほどクオリティが高い作品が多かったからです。賞に選ぶことができなかった監督の作品も、本当に素晴らしい作品ばかりだと思いますので、これからもどんどん作って欲しいと思います。
佐々木敦さん講評
今回、東学祭コンペティション部門と合わせて映画監督ではないのは僕だけなので、どうして僕が呼ばれたのか謎と言えば謎でした。ですが、それだけに責任というか「監督目線じゃないところからの意見というのを出したほうがいいのかな」と思って作品を見ました。8本の作品のレベルが本当に高く、且つ、かなり作品のタイプがバラエティに富んでいたので、その8本の中からグランプリを選ぶというのはどういう基準で選べばいいのか、一昨日映画を見た時点では悩んでいました。僕は映画以外のジャンルの仕事も色々していますが、新人の人を選ぶ時、個人的には「完成度」とか「出来」以外に、パッションや、その人にしかできないような、そのときにしか生まれないような作品に票を入れたいと思っています。
今日の審査会で「岩井澤さんはどう思っているのかな?」とか、「何を推してくるのかな?」とドキドキしていました岩井澤さんもそうだったかもしれないですけど(笑) そして、グランプリだと思う作品を「せーの!」で言い合ったら『忘れたくないのに定かじゃない』を2人とも推しました。この時、岩井澤さんも僕がこういう方向の作品を推したいなって思っていた気持ちと一緒だったことが分かって、割とスムーズにグランプリに決まりました。その後で、グランプリ以外の賞、準グランプリ、審査員特別賞を考えていきました。なので、結果として8本のうち半分が何かしらの賞を与えているのですが、賞にもれた4本も非常に優れた作品だったという風に思いましたし、「あ、こんなに面白いことになっているんだ」と認識を新たにしました。これからもこういう機会を経て、「学生映画を見る機会があったら見てみたいな」と思いました。ありがとうございます。